以前、アジャスターが見落としすぎている見積書を出してきたというお客様の案件を記事にしました。
https://www.bodyshop-sano.com/?p=2719
ボデーショップ佐野では、他の工場では断られる特殊な案件も含め、年間1000件以上のお問い合わせ、年間1000台近いご修理をさせていただいております。
今回、「修理工場とは協定しません。アジャスター見積もりでのお支払いとなります」と言われる案件が発生しました。
車両保険使用時のできごとです。
ある保険会社である条件を満たすと保険会社が勝手に損害額を決定する
保険会社の約款のどこにも、そのような事ができる内容は書いて無さそうですが・・・
それどころか、保険金請求における必要資料に「契約者による損害部の見積書」(この文言ではない場合がありますが、概ねこのような意味の文章)があるんですよね。
これもアジャスター不足や損害率の上昇が要因なのかもしれませんが、
・車両保険使用時
・分損で、修理工場等で修理をしない場合
においては、修理工場と協定をしない(アジャスター見積書の金額で支払う)そうです。
私はそのような話を2025年9月まで聞いたことがないですし、
契約している約款を見たわけではありませんが、WEBで確認できる約款のどこにもそのような事は書いてありません。
他の保険会社にも協定しないパターンがあるか聞きましたが、仲の良いアジャスターに確認する限り、「うちの会社ではそういうケースは無い」と言っていたので、あるメガ損保だけの横暴だと思われます。
協定をしないとどうなるのか(契約者のリスク)
ディーラー見積もりでは交換、ボデーショップ佐野の見積もりでも交換、
アジャスター見積もりでは修理が出来る、というケースでした。
仮に、ディーラー見積もりが90万円(損害の見落としあり、時間をかけて見ていないと思われます)、
ボデーショップ佐野の見積もりで110万円以上(1時間以上現車確認に時間をかけて精査済み)
アジャスター見積もりで30万円前後というケースです。
(仮としていますが、ほぼこのような金額の内容でした)
協定が無いという事は、保険会社の考える作業内容や金額では、
損害範囲全てについての仕上がりを修理工場が保証できない、という事です。
修理をしないといっても、後日お客様が直したいと考えた時にほとんどの部分が直らないのであれば、損害に対して修理費を支払うという保険の前提が崩れています。
保険会社は修理工場ではありません。
損害額をアジャスターが算出して支払う、という契約内容で保険料を安くしているならまだしも、
修理をする場合と修理をしない場合で倍以上の差が出るのは、本当に損害に対しての支払いとなっているのでしょうか。
これを不払いと呼ばずに、なんと呼ぶのでしょうか。
アジャスターの見積もり内容の精査もできない
協定をしないという事でしたが、それだけで食い下がるボデーショップ佐野ではありません。
アジャスターに「修理工場が見積書を送ったら、何か変化はあるか」と確認したら、
「見る事はしてもいいけど、それで何かが変わるわけではない」
だそうです。アジャスターは暇ではないので、恐らく見ないでしょう。
お互いに時間の無駄なので送らない事にしました。
更に、アジャスターの見積書を送ってくれ、と言っても送られてきません。
工場には関係が無いから、という事であれば契約者に送ってくださいと伝えても送ってきません。
つまり、「修理内容も明細も明かさないけど、総額はいくらです。これで綺麗に直る損害です。」と保険会社は言っているのです。
鈑金塗装工場や整備工場は、2024年から透明性の確保が重要だと言われています。
もちろん保険会社も透明性確保について知っているはずですが、
自分達の透明性の確保は重要ではないのでしょうか。
推奨する契約者側の対応
現時点では、工場側に出来る事がほとんど無いと思われます。
修理工場はあくまで第三者であり、保険会社と契約者の間に入って出来る事には限界があります。
可能であれば契約者側の対応は以下のようなものが望ましいと考えています
・保険会社の主張を了承しない
・保険金の請求権が何年間あるか、その間に車を売却しても問題が無いか確認
・問題がなければ、その期間に保険会社の対応に問題が無いか訴えていく
訴えていく方法として考えられるのは、
そんぽADRセンター: 損害保険会社とのトラブルが解決しない場合の苦情の受付や損害保険会社との間の紛争解決の支援を行っています。相談や苦情・紛争解決手続にかかる費用は原則として無料です。
消費者庁: 消費者ホットライン188番を利用して、契約や悪質商法におけるトラブル、製品・食品やサービスによる事故等のご相談を受付けています。
市区町村の消費生活相談窓口: 無料法律相談や法テラスなども利用できます。
これらの窓口を利用し、保険会社の対応が間違いである事が分かれば、道は開けるかもしれません。
まとめ:了承すれば不払いにはならないのか?
契約者は、了承しないと保険金が受け取れません。
了承したから不払いにならないのだとしたら、
保険会社はどこまでも自分勝手な論理を押し付けてくるのではないでしょうか。
国交省への情報窓口には送信しました。
金融庁がメスを入れてくれることを祈ります。
投稿者プロフィール
- 2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。
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