自動車修理工場の価格転嫁が少しずつ進み、経営状況が改善してきた工場も増えてきたと思われます。
ボデーショップ佐野も、今年の春に年間休日を増やし、それも考慮した価格転嫁を行いました。
まだ価格転嫁を進めていない工場もあるため、金額を重視すると他の工場の方が安い、という事となりますが、上がり続ける修理代に対してカーオーナー・カーユーザーが出来る事を考えます。
ケース1:自分で修理(タッチペン・手磨きレベル):推奨しています
タッチペンや、コンパウンドでの磨きはおすすめできます。
ただし、なんとなく綺麗になりそうなイメージで道具を選定しない方が良いです。
具体的にはメラミンスポンジですね。
ちょっとした塗装面の付着物は落ちるかもしれませんが、塗装面に傷もつきます。(実験済み)
黒い車は油性ペンで目立たなく箇所もありますが、
Amazon・楽天などのネットショップ、オートバックスやイエローハットなどのカーグッズショップでも車体の色に調合された塗料がタッチペンやタッチアップという名称で販売されています。
服や皮膚につくと落ちづらいですが、比較的安価に目立ちにくくなります。
板金塗装工場によっては、数千円でご依頼できる場合もあります。弊社も行っています。
ケース2:自分で修理(機械で磨き・塗装):推奨せず
タッチペンや手磨きで作業して、それでも満足いかない場合はさらにハイレベルな内容に挑戦したくなる方もいると思います。
器用な方でもうまくいかないケースが多いです。
個人で手に入る機械での磨きは、磨き過ぎで塗装面が無くなってしまう可能性が高いです。
まだこちらは
自動車塗料用に缶スプレーで色を塗装してクリアを塗装する方法も、ツヤ感が異なるだけでなく、材料によっては再修理(その状態からの塗装)を工場から断られる場合も考えられます。
練習台なんだ、と思える車なら良いかもしれませんが、塗料の飛散により近所から苦情が来る事も考えられますし、苦情で済めばまだ良い方ですので、推奨できません。
ケース3:安い修理工場を探すのに何店舗も回る:推奨します
修理工場をいくつも回るのは手間ですが、安価で信頼出来る工場があればそれに越したことはありません。
できれば、直感だけでなく口コミなども確認した方が良いでしょう。
整備も板金塗装も行っている工場の場合、整備の口コミの方が多い事がほとんどなので、
判断は難しいかもしれません。
工場によって工賃が異なる理由には、設備投資もございます。
しかし、必要な作業を行わない事で作業時間を短縮する事で安くしている場合もありますので、
ご自身の仕上がりイメージをしっかり伝えた方が良いと思います。
ケース4:中古部品の使用や一部のみの修理を検討する:推奨します
中古部品を使用する事で安価になる場合がほとんどです。
特に、同じ色の部品を補修せずそのまま使うと金額的なメリットが大きくなります。
部品をご自身で手配するという方法もありますが、細かい仕様の違いで取り付け出来ない場合もございますので、グレード展開が多い車種、マイナーチェンジされている車種などは特に注意が必要です。
そういった心配がある場合は、工場に中古部品の検索をお願いした方が良いでしょう。
同じ色でそのまま取り付けをすると、工期(納期)も非常に短くなる場合が多いです。
例として、バックドア交換は通常1週間~2週間という工場でも、軽自動車で中古部品を用意しておけば1時間で終わるケースもあります。
まとめ:あと何年乗るのか、出口を考えて修理すると良い
多くの場合、修理をしても修理した金額と同じだけ下取り額・買取額が上がるわけではありません。
保険を使うほどではないご実費の作業や、エコノミーの保険(自分でぶつけた、相手の居ない事故では車両保険が使えない種類の保険)では、次の車検まで乗るのか、次の次なのか、乗れなくなるまで乗るのかなどによって修理方法の選択肢が増えていきます。
(保険を使う場合は、契約内容をもとに保険会社と修理内容・修理方法について打合せを行うケースがほとんどですが、綺麗に直したというニーズを満たす修理方法と保険会社の認定できる範囲が合致しない場合は、要相談となります)
タッチペンをする前に修理工場に相談するのもアリだと思います。
広い範囲なのでタッチペンだと逆に目立つかも、先に磨いてみましょうかといった提案をしてもらえるかもしれません。
もちろん、目の前の仕事に対してタッチペンで済ませるのは嫌だという工場もあるので、「きれいに直さないとダメだよ!(何がダメかは言わない)」と言われる可能性もありますが・・・そういう工場がクレームに対して真摯に対応する可能性は薄いですね。
投稿者プロフィール

- 2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。
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