何をもってして正しいと考えるかは、人それぞれです。
例えば、以前記事にした協定のみご依頼事例のように、アジャスター資格も見積もり経験も無いであろう人がカメラを持って車両を確認、アジャスターがその写真を基に見積もりを作るといったケースでは、車両内部の装備などに見落としもあり、保険会社の提示する見積もり金額の倍以上となる見積もりとなったケースもあります。

今回は、雹害でのアジャスター見積もりに対し倍額違い金額となった案件を取り上げます。

わざと安い金額を提示している、という訳ではない

保険会社が「わざと安い金額を提示している」とは思っていません。
様々な要因があり結果的にそうなってしまっているだけで、保険会社の提示する見積もりが「正しくない」とは言いません。
そのため、見積もりをしてアジャスターと協定を行うというサービスに対するお客様との契約に際して、「本サービスを受けてもあまり意味が無いケース」は事前にお伝えしています。

見積もりにおいて何をもって正しいかは人それぞれですが、私、佐野は
「少なくとも正しさの根拠が出せないと正しくはない」と感じます。

正しさの根拠がある見積書とは

普通のカーオーナー・カーユーザーは、見積書を見慣れていません。
見積書に記載されている部位の名称や、部品名称を見てもどの部品か分かりません。
(かくいう私も、アジャスター見積書のこれは何ですか?と聞かれてもお答えできない部品名称もあります)

そういった契約者に対し見積書を提示し、「この見積書が損害の内容となります。異論がなければ車両保険金としてお支払いし、本事故に関する請求はこれ以上行えなくなります」という方法が正しいかと言われると、正しくないと思っているので、本サービスの提供をスタートしました。
日本では、ある程度権威のある人や団体・大きな規模の会社が提示するものに異論を唱えることに抵抗がある方も多いでしょう。
見積書の内容をすべて詳細にご説明するのは、お客様にとっても負担であり、時間的にもアジャスターが行うのは難しいと思いますが、せめて見落としが起きない方法はとっていただきたいものです。

損傷個所を見落させない(言い訳しづらい)環境づくりも大切か?

車両購入時に車体をあらゆる角度から、様々な方法で見る方もいらっしゃいますが、
雹などによる損害に対し全体を見る、というのは難しい場合がございます。

これは、車両展示スペースよりもご自宅の駐車スペースの方が狭いとか、照明などの問題により見えづらい、わずかな凹みを見つけづらいという事が考えられます。

当然、そういった場所で保険会社手配のアジャスターが現車を確認するとなると、見落としも生まれます。
大抵は一度の確認で終わらせたいと思うしょう。多少車を動かしたりはすると思いますが、観測環境が悪くても、天気が悪くても、損害の確認をその時行える範囲で行います。

お客様がボデーショップ佐野に持ち込んで、アジャスターの見積書を見ながらお車を確認していくと、
「ここにも凹みがありますが、雹害の前にもありましたか?」
「この凹みは雹害かどうか分かりませんので、写真で分かりづらいですが、保険会社に確認します」
といった箇所が出る場合がほとんどです。

これは工場の照明を使って確認するからであって、観測環境が悪ければ、私だって見落とします。
可能であれば私以外のスタッフと2名以上で確認するようにしていますが、それぐらい雹害の確認で見落としを無くすのは困難です。

へこみ1個で、部品1点で数万円、数十万円変わる場合もあります。
アジャスターがご自宅に確認しに来るから手間が無くていい、というお気持ちは分かりますが、
環境を準備し見落としが少ない方法を取っていただくのか、セカンドオピニオンとして弊社にご依頼するといった方法を取る事で、見落としの少ない見積もりが可能となります。

顧客目線での正しい見積書は「修理依頼先が満足に修理できる内容なのか」

最終的には、正しい見積書かどうかは「お客様が修理したい修理先で、修理したいところが、修理できるのか」という事となりますので、可能であれば修理を依頼したい販売店や工場に相談する方が良いでしょう。
修理には時間がかかるし、気にならないから修理しない、という場合や、「修理を依頼したい工場が見積もりのみを断る」というケースがあるため、弊社がサービスを提供しております。

部品代の上昇などもあり確約はできませんが、弊社のサービス内容と手数料であれば、多くの修理工場が受け入れてくれる見積書になるのではないかと感じています。

まとめ:今回の案件も倍近い金額の差があったが・・・

今回の記事ではあまり個別の案件となる内容について書きませんでしたが、
アジャスター提示額に対し倍近い金額の差がありました。
指数の適用範囲外の作業についても指数を適用するなど、様々な点で抜け・漏れのある見積もりだった事、へこみの見落とし、根拠のない地域対応単価の適用など、金額に差が出る内容ではありましたが、最初の提示額も保険料数年分となるため、一見すると高額に見えます。

通常の事故も同様ですが、アジャスターも私も、もちろんお客様も、雹が降っている目の前で車両をみながら、
「おっここが凹んだ」「反対側で大きなのが当たった音がした」
と損害を確認しているわけではありません。

アジャスター見積もりの抜け・漏れに対し確認する手段が無い方がほとんどだと思います。
提示金額に納得がいく場合でも、一度工場に相談すると良いかもしれません。

投稿者プロフィール

shusukesano
shusukesano
2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。

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