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鈑金塗装による色の違いの解説

鈑金塗装で色の違いがなぜ発生するのか、その理由が分からないという方は多いと思います。

様々な要因があり一概には言えませんが、まず、部品のほとんどは色が無い状態で届きます。
ちょうど上の画像のような形で、白い車体の車でも、鉄板に錆止めの塗装がされた(という説明が分かりやすいと思います)状態で届きます。(白いパッドは輸送キズ防止のためについています)
これは灰色系の色ですが、もっと黒かったり、素材によってはこういった塗装がなかったりと、様々です。
(余談ですが、白いパッド外車ではあまり貼っていません。外車部品は、鈑金工場で手直ししてから塗装する事が織り込み済みであったりします)

この新品部品や補修箇所に対して、鈑金工場で調色した色を塗装します。
そうです。自動車用補修塗料というものは、車両の色に調色された状態では売られていません!
(例外もありますが、ソリッドの黒など元々色の違いがほぼ無いものになります)

そのため、ベースとなるカラーコード(車両がどの色として売られているか示している、色の識別コード)の色をまず作成し、そこから実際の車両に合わせて調色していくのが通常の作業の流れとなっています。

仮に調色した色を100、実際の車両の色を0(ゼロ)とした場合、調色した色で埋め尽くした部分と実際の車両の色がグラデーションになるように、[100~80~60~40~20~0]と色のかかり具合を調節しながら塗装していきます。
これがボカシ塗装という技術であり、ボカシ塗装をしないで塗装するという選択肢は、色の違いを目立たせる事になるため良い選択とは言えません。
(色によってはボカシ塗装が不要な場合もありますが、主にソリッドの白や黒で、キラキラしているメタリックやパールが入っている塗装ではボカシ塗装が必要となるケースが多くなります)

WEB上で用いられるカラーコードは、16進数の6桁で表されています。
上の3つの画像は、赤(赤0:#FF0000)と近似色(赤1:#FF1111、赤2:#FF2222、赤3:#FF3333)を使って一番左・アルファベットのある真ん中・一番右がそれぞれの色になるようグラデーションにしています。
そして、BとCは目安として下側15%の領域に赤0(#FF0000)単色を入れています。

Bは分かりやすいですね。左は赤1、真ん中が赤2、右が赤3、下は赤0にしております。
Cの色の違いは分かりますでしょうか。左から赤2、赤0、赤1になっております。下は赤0です。
Aの色の違いは分かりますか?左から赤0、赤1、赤2です。私は拡大しても色の違いが分かりません。

仮に車両の色が新車で#FF0000とすると、経年・紫外線等の影響により変色し全体的に#FF1111になっていくイメージです。赤は退色しやすいので、赤で示しています。

そして、劣化・変色の影響は各所でバラバラ、ルーフやボンネットなどの地面と水平の面は赤3(#FF3333)、
上の画像のB,Cのように、ドアの下のサイドシルパネルは#FF0000のままになっているイメージです。

調色作業により、データ通りの赤0:#FF0000から現車のフロントフェンダーの側面側に合わせた色、赤1:#FF1111を作製したものとします。(厳密には全く同じ色というものは難しく、近似色のため#FF1010としたいのですが、ややこしくなるので割愛します)
調色済み塗料赤1を使って、赤3(#FF3333)に変色している部分がある車両ではどのように塗装すべきでしょうか。
真ん中のエリアをボンネット、左右を左右フロントフェンダーの上部(ボンネット付近)と仮定しましょう。

Dは、劣化・変色が進行したボンネットとフロントフェンダー上部である赤3(#FF3333)単色に、フェンダーとボンネットの隙間を想定した黒線を入れただけの状態です。

Eは、向かって右側のフェンダーを交換して、ボンネットをボカシ塗装するという想定の作業では、このような塗装になるという例です。
向かって左側のフェンダーの色はそのまま赤3ですが、調色した赤1は向かって左側にほとんど入らないようにボカシ塗装する事で、色の違いが目立たないようになっていると思います。
つまり、左は赤3が100%、右は赤1が100%のグラデーションになっています。

Fは、ボンネットを交換、左右フロントフェンダーはそのままという作業の場合を表しています。
左右は赤3、ボンネットは赤1の状態です。
色の違いが目立ちますが、ボカシ塗装無しの作業で難しいのは、「新車本来の色である赤0で調色すべきか、最も現車の面積が広い赤1で調色すべきか、左右に合わせて赤3に合わせていくか」という事になります。

ボカシ塗装をしないメリットは、予算が抑えられるという点が大きいです。
ご実費で劣化を修理する場合は年式が古くなっている事が多く、お車の価値(例:下取り価格)を考えると、そこまでお金をかけたくないという方も多いと思います。
その際、ボンネットだけを塗装するのであれば赤3に調色して塗装すべきですが、今後ぶつけて修理した、他の劣化したところも塗りたいとなると赤0や赤1で調色すべき、という事になります。
フェンダーまでボカシ塗装を行う場合、仕上がり重視で作業すると予算がボンネットのみ塗装の倍以上かかる可能性があります。

赤3で調色するのは難しいという問題もあります。
元々の調色に必要なデータは赤0で示されていますので、ここから離れるほど調色は難しく、色は合わせづらくなります。
デジタルでは16進数6桁を書き換えるだけですが、実際の調色は自動車用塗料として用意されている色を継ぎ足していく事で行います。単純な白を足すだけで調色できれば良いですが、現車色によっては赤が抜ける事で僅かに入っている他の色が強く出るなど、職人の腕の見せ所となります。
塗料は足していけば足していくほど材料費はかさみ、元に戻したり引く事は出来ません。

特にメタリックやパールなどの顔料が入っている色の場合、見る角度によって色が変わるという問題もあり、真正面だけでなく、パネルに対して15度、30度、45度などの角度で見ていく透かし方向で色が違うように見えるという問題もあります。
仮に新車と全く同じ色が手に入ったとしても、補修塗装は新車製造の機械とは違い人の手で塗装作業を行う事から、特に透かし方向での色の見え方の差を埋められるない事があると言えます。

 

色付き新品バンパーの色の違いや、僅かな段差による光の当たる角度での違いなど、様々な要因で色は違うように見えるものです。
この角度ならバッチリだけど、透かし方向では違う色に見える場合もあります。

色というのは非常に難しく、誰かにとって合っているように見えても、全人類が同じように見えるかどうかは分かりません。

格安鈑金工場やクイック修理との違いの一つに、「調色に時間がかかっている」という部分もございます。
調色に時間をかけなければかけないほどお安く作業が出来るという点では、「とりあえず似たような色がかかっていれば良い」というニーズもありますので、どちらがよりお客様のニーズに合っているかどうかで、格安鈑金工場やクイック修理の工場をご案内させていただく場合がございます。

弊社には、色彩検定やカラーコーディネーターなど、色に関する資格を取得している塗装担当者がおります。
より良い修理をリーズナブルな価格でご提供できるように努力しております。
ご不明な点があれば、お気軽にお問合せください。

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