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今回は、修理を勧める板金塗装工場や保険会社の事情やメリット・デメリットについて解説していきます。
結論としては、修理の方が仕上がりが良いケース・価値を守れるケース・長期間安心して乗る事が出来るケースがあります。
このケースに当たる場合、修理工場や保険会社が修理を推奨することになります。
とにかく損害箇所全て交換してほしいというニーズ
「ぶつけられて保険で直すことになったのに、保険会社から”修理で対応してください”と言われた」
という経験をした方もいらっしゃると思います。
また、被害事故(対物保険)では「被害事故なんだから交換しろ」、
車両保険では「保険料を払っているんだから、新品に交換!」
と考える方もいらっしゃいます。
保険会社が交換を認めない事情
費用面での事情
車種や損傷部位にもよりますが、特に外車では部品1点が修理から交換に変わっただけで、数十万円高くなるというケースもあります。
年式によってはこれにより全損となる場合も考えられ、時価額を伝達し交換では綺麗になる金額が出せない事を伝えると、示談が長引くケースもあるでしょう。
原状回復の考え方
損害賠償請求における原状回復は、「事故前の状態に戻す」という考え方に基づいています。
この「事故前の状態」について、保険会社の考え方として、交換が必要ないという判断です。
車両保険等でも同様の考え方に基づいていますが、たまに約款を持ち出して話をする保険会社のスタッフもおりますので、約款に修理の内容について具体的に記載されているケースがあるかもしれません。
保険会社はルールの中で動いている
車両保険においては、ルールが約款に記載されている場合には、契約者は了承して契約しているとみなされ、反論しても払われるものは変わらないかもしれません。
対物保険の示談交渉において、最近気になる動きがあります。それは「弁護士が入らなければ保険会社独自のマイルールを押し通す」という姿勢です。
本来は被害者が損害を立証し、加害者がそれを賠償するもの。
ですが、現在は加害者側の保険会社が一方的に「ここまでしか直さない」と決め、
異論があるならハードルの高い弁護士対応を迫るという、
極めて不均衡な状況が生まれています。
これは示談交渉のあり方として、公正さを欠いているのではないでしょうか。
異論がある場合は呑みこまず、必要な請求はしっかりと行う。
そのためにも、被害者の立場に立って損害を正しく見積もり、
理論武装を助けてくれる修理工場の存在が必要です。
加えて、保険契約の際には弁護士特約を推奨いたします。
交換のデメリット
損傷内容から交換せざるを得ない場合もありますが、
保険会社も修理工場も「どちらでも良い」となるケースもあります。
しかし、多くの工場では(お客様に確認しても、回答が遅かったら修理が止まってしまうので)「こちらで一番おすすめの方法で作業する」と考えていると思います。
修理と交換のメリットとデメリットを知っておくことで、事前に「選択できるのであれば、修理をしてほしい」「交換できるのであれば、交換してほしい」といった事を伝えておけるのではないでしょうか。
交換のデメリット:価値の低下
特にフレームとみなされる箇所については、価値の低下が顕著です。
これは、中古車の買取時に”修復歴”という判定をされやすくなるためです。
”修復歴”があるよりは無い方が価値が上がりますので、
特別な理由が無ければ、修理できるフレームを交換する工場はあまり無いでしょう。
交換のデメリット:新品パネルの”デキ”の問題
新品として供給されている部品が、新車に供給されている部品と同一の工場・設備で製造されているかは分かりません。
仮に、同一の工場で製造されていても、金型が古くなっているなどにより、新品のサイズが若干小さくなる、といったケースを耳にしたことがあります。
他にも、製造上のトラブルで錆びやすい箇所があるという事も考えられます。
また、外車では本国から船便で長旅をしてくるものもあり、
”届いた時点で凹んでいたが、取り直してもどうせこれより良いとは限らないので、凹みを直して使う”
という事も考えられます。
交換のデメリット:溶接トラブルの問題
ボンネットやドア等のボルトオンの部品ではありませんが、
溶接して取り付けする部品は、車へのダメージが大きくなります。
例として、新車から半年で右リヤフェンダーを交換した車が、
数年後、左はなんともないが右の溶接部から錆びてくる、という事も考えられます。
通常の修理作業では、通常の新車製造時よりも長く持つという事は考えづらいため、
昔よりも車齢(新車から廃車までの期間)が長期化しており、こういったトラブルは増える傾向にあると言えます。
交換のデメリット:塗装範囲の拡大
修理であれば塗装時に色が入る範囲を抑えられるが、
交換する場合はそのパネル全てを塗装する必要があり、
隣接パネルに塗装の色を馴染ませる、”ボカシ塗装”を考慮すると、
交換によりオリジナルの塗装範囲が減少するケースもあります。
例として、フロントフェンダーを修理すればフェンダー内で塗装が納まるが、
交換をするとドアまでボカシ塗装をする必要がある、というものです。
板金塗装工場の塗装環境は、新車製造時の特殊な環境には及びません。
年式にもよりますが、オリジナルの塗装を保つ事で塗装トラブルを減少させることが可能です。
修理のデメリット
修理の際にも、デメリットが無いわけではありません。
交換のデメリットに比べると、工場側の要因(いわゆる、ウデ)によるところが多いと思います。
修理のデメリット:修理してはいけない物を修理してしまう
メーカー側が修理を推奨していない、という箇所や内容があります。
知識がないために、または工賃利益を優先するために修理してしまうと、
メーカーが想定している車内の乗員を守るための強度・耐久性や、
一部機能を阻害してしまう可能性が出てしまいます。
修理のデメリット:必要な工程を省く事で、経年劣化が発生する
特に安価に修理する工場では、下地処理に必要な時間を省く事で安価にしている場合もあります。
同じ作業内容なのに他の工場よりも圧倒的に安価であるという事は、
長い目で見たときに必要な作業を省いている可能性があります。
下地処理がしっかりしていないと、パテ痩せや塗装トラブルに繋がりますので、
後何年乗る予定なのか、仕上がりを気にするのかどうかで修理工場を選んだ方が良いでしょう。。
修理のデメリット:仕上がりが不安定な場合がある
新品部品の品質はある程度保たれていますが、
修理では必ずしも一定とは限りません。
元々修理の仕上がりの評判が良くない工場もありますが、
腕の良い工場でも職人の高齢化は免れません。
調子が悪い、ケガをした、家族の入院、でも納期は延ばせないといったケースがあるでしょう。
大きな規模の工場でも、仕事が回らず残業、しかし会社側は残業をするなと言ってくる、社内チェックで100点ではないが納期があるので納車する、というケースもゼロではないと思います。
(実際に、数か月先まで予定が埋まっている状況のため、この車両は何日で仕上げないといけないという工場の話を耳にしています)
まとめ:要望があれば最初に伝達した方が安心
修理を依頼する際に、お客様側との仕上がりイメージが合致していないと、トラブルになりやすいと言えます。
例えば、全て交換をしてほしいと最初に言われれば、
「出来る事」「出来ない事」「修理と交換のメリット・デメリット」
をお伝えしながら修理計画を立てる事が出来ますが、
修理が進んでから言われても戻れない事もあります。
特に最近の自動車修理業界では、
納期の都合上、お預かり前に損害確認や部品の在庫確認をし、
話がまとまれば発注するケースが増えていると感じます。
長く乗る予定なので長持ちする作業方法を取ってほしい、
そんなにお金はかけなくていいから、それなりでも構わない、
どれだけお金がかかってもいいので、しっかり直して欲しい、
といったご要望をお伝えいただく事で、修理計画に反映できる場合もございます。
投稿者プロフィール
- 2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。
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