鈑金塗装・事故修理の見積もりは難しい!良い写真の撮り方とは

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NEWS-コラム

株式会社プロトリオスさんが実施している見積もりグランプリ2021では、模範解答に対し上下30万円近い開きがあるなど、事故修理の見積もりを写真だけで行うのは難しいものとなっています。

しかし、メールやLINE、WEBシステム上等、様々な部分で鈑金工場も保険会社も画像による見積もりを行っております。

そこで今回は、なぜ画像での見積もりが難しいのか、写真の撮影方法、画像のみで見積もりを行う時の注意点を記事にしていきたいと思います。

画像での見積もりが難しい理由は3つ

事故状況が正確に分からない場合がある

保険会社に事故状況を確認する事で、事故状況をある程度把握する事ができます。
しかし、個人の方がメールやLINEで画像を送信いただく場合、以下のような情報を聞ける場合は少ないかと思います。

 

    • 何時方向(角度)から

    • 何が(自転車、バイク、人、壁、電柱、ポールなどが)

    • どれくらいのスピードで(ノンブレーキ、又はブレーキ有りなどで)

    • どこ(車の場所・相手の場所や素材など)にぶつかったか

以上4点が大体でも把握できない場合、損傷がどこまで及んでいるか画像だけでは把握しきれない場合があるからです。
そのため、「画像の段階ではこれぐらいの金額だと思いますが、実際に進めてみると前後する場合があります」とお伝えする事も多いです。

撮影方法により損傷が分かりにくい場合がある(より良い写真の撮影方法)

修理見積もりを作成するための良い写真の撮り方として、

 

    • キズと同じ高さで地面と水平に(上から、下から撮るのは、凹みが映りづらい場合)

    • 損傷のアップの写真

    • どのパネルのどのあたりにある損傷か分かるように

    • 損傷のパネルの隣接パネルの全体も映るように

    • 可能であれば斜め45度の角度からも撮影

以上5点に注意して撮影すると、損害が分かりやすい写真になります。

どういう凹みか、どういうキズかが分かりやすいようにマクロ撮影(接写)の写真1枚を送られる方もいらっしゃいますが、よほど損傷が小さい場合か、穴が空いているかどうかを確認したい場合以外は、そこまで近くで撮影しなくても大丈夫です。

見積もり金額が大きく変わる可能性があるのは、「色にもよるが、隣接パネルまでボカシ塗装をする必要があるか確認するためにパネルのどの辺りにあるキズ・凹みなのかどうか」と、「塗装するパネルに外す必要のある付属品が無いか」の2点です。
例えば、同じ500円玉サイズの凹みでも、運転席ドアの真ん中にあるのか、前の方にあるのか、後部座席のドア寄りにあるのか、といった損傷の場所で見積もり金額が数万円変わってくる事もあります。

資料や情報が足りない場合がある

車種にもよりますが、グレードやオプションなどにより純正部品の価格も異なるため、車両情報(=車検証情報)が無いと正確な見積もりはまず出来ません。

また、コーティングの有無も見積もり金額に影響があります。
例えば、ドア2枚を交換し、隣接の前後フェンダーをボカシ塗装する場合、一般的なガラスコーティングのコーティング費用は3万円を超える場合が多いと思います。
もちろん、コーティングの状態や施工から何年経過しているか等により、再施工を行わなくて良いという方もいらっしゃいますが、保険の場合コーティング費用が支払われる場合もありますので、必要な情報の一つとなります。

その他にも、写真では分かりづらい社外品や、ドアにデッドニングがされている、ガラスが上下しなくなっている、といった情報は写真だけで判断しづらいです。
こういった情報が事前に分かると、金額が大きく変わる場合があります。

画像のみで見積もりを行う場合の注意点

見積もりの意向を確認する

見積もりグランプリの場合、損害の金額、すなわち被害事故を想定した、事故前の状態に戻すという前提での見積もりになります。

しかし、実際にはそこまでの修理は必要が無いという方もいらっしゃいますし、被害事故と車両保険で認められる範囲は若干異なります。

予算重視(より安価な作業方法をご希望)の方であれば、コーティングをかけていないか、かけている場合でも再施工は不要なので資料を送っていないのかもしれません。
車種によっては高機能塗装をされている場合があり、高機能塗装の内容によっては新車から5年~10年ほどで効果が無くなっていくため、予算を重視するのであれば高機能塗装は不要かもしれません。

仕上がり重視の方であれば、高機能塗装を再施工するかどうかの確認も必要になると思います。
また、数千円~数万円かかってもミズキリモールやガラスを外して塗装の際を目視不可の箇所へ持って行くという作業を行った方が良い場合もございます。

お客様のニーズを引き出すのはフロントマンの力でもありますが、時間は有限であり、全ての項目をお客様と確認するのは難しい場合があります。

弊社の場合、ご実費で予算をある程度重視した場合と、車両保険を使った仕上がりを重視するお見積もりの2パターンを作成する事が多いです。
ここから、お客様のご予算やご希望によりすり合わせをしていきますが、最低限の仕上がりを担保出来ないご予算の場合は、タッチペンや磨きといった千円~数千円の作業をご案内するか、設備や仕上がりが劣る(可能性が高い)工場をご紹介しております。
工場によって最低限の仕上がりは異なり、「こんな仕上がり・・・どこの工場に依頼したの?」とご友人やご親族等に言われないために必要な作業を行うと、必要な金額が出るため、それよりもお安くするためには手を抜くしかありませんので、お断りしております。

まとめ

正確な見積もりというものは難しく、画像だけで2万円です、3万円ですとお伝えする金額は余裕を持った(ちょっと高めに伝えてある)金額である場合があると思います。
又は、実際に見たら高くなって当然、という考えのもとで安めの金額をお伝えし、とにかく来店してもらって実際に進めてから高くなる、という悪徳鈑金工場があっても不思議ではありません。
画像だけで見積もりをしてもらう場合、写真は前述の点に気を付けて複数枚送る事で実際に見た時とのブレの少ない見積もりが可能となりますので、ぜひご活用ください。

投稿者プロフィール

shusukesano
shusukesano
2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。

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