雹害は、ある程度年式が経過していると全損になる可能性が出る非常に厄介な損害です。
また、ルーフパネルの雹害は、修理で安価に抑える方法をとると凹みが残っているなどのクレームに繋がる可能性もあり、仕上がりのイメージについて合致するのが非常に大変です。
雹害で全損にして、又は分損でもお金だけもらう場合の、鈑金塗装工場が考えるメリットとデメリットについて解説します。
あくまで「修理しなくても公道走行可能な状態」を前提とした内容です。
ライト類が割れていて走行が出来ない場合、最低でもその部分は修理をしてから走行するようにしましょう。
最終更新日:2025年11月15日
雹害で修理せずお金だけもらうメリット
車エコノミーではない両保険が大前提ですが、特に買い替えを検討しているタイミングで全損になるのはメリットが大きいケースがあります。
というのも、多くの車は下取り価格より大きな金額で車両保険をかけているためです。
例えば、下取り価格10万円の軽自動車で車両保険が40万円で全損の場合、雹害で全損となり保険金を受け取れば30万円以上得をした形になります。
例えば、修理後の下取り価格が100万円で車両保険金が180万円、雹害の損害額が150万円と認定され、事故現状の下取り価格が30万円の場合、これも80万円得をした形になります。
以上の例はあくまで例となるため、全損の場合は一時金でプラス、そのまま乗り続けたい場合は(全損の場合、保険会社が車両を引き上げるケースがあるため、ご自身で乗り続ける場合は保険金から)マイナスとなる金額があります。
保険金として受け取れる金額については、案件ごとに大きく異なります。
分損の場合は、全損よりも分かりやすく、保険会社と協定をした損害額がそのまま保険金として支払われるケースがほとんどです。
雹害で修理せずお金だけもらうデメリット
特に買い替えを予定せず、長く乗る予定だった方は、
保険金だけ貰って修理をしないでおくとデメリットになるケースがあります。
自動車の修理に関わる部品(補修部品)の金額は、新車時から少しずつ値上げりする傾向にあります。
つまり、雹害で保険金を受け取り、3年後にやっぱり修理をしたいと思っても、まず同じ金額では修理ができません。
もちろん、保険会社に「修理しようと思ったら保険金より高かった!」といっても、差額を支払ってもらえる訳ではありません。支払った段階でその事故は解決しています。
また、再度雹害があった時に、修理をしていない箇所について支払ってもらえるかどうかは、契約内容や損害の状況にもよりますので、前の雹害より被害が明らかに大きくなったから再度保険金を受け取れる、とは限りません。
後から直す予定がある場合は、早めに直した方が良いと言えます。
雹害でお金だけ貰う方法
一目で全損になる車両の場合、保険会社が雹害の箇所の確認を行い、全損の確定、修理意向の確認、支払いと素早いはずです。
そして、工場側もあまり手間がかからないケースが多く、手間賃だけで保険会社とお客様の間に入ってくれるかもしれません。
分損か全損か微妙な事故の場合、修理工場やアジャスターによって変わる事があります。ギリギリ分損、という方が全損より得をするケースもあるので、修理工場がどこまで親身になるか、保険会社が契約内容の中で柔軟な対応をしてもらえるかで結果が変わります。
問題は分損の場合です。
分損の場合、一般的には修理工場が見積もりを出し、保険会社が損害と見積もりを確認し、損害の範囲と損害の金額について修理工場と保険会社で打合せを行います。
一般的に、保険会社は保険金が少ない方が利益が残り株主が喜ぶため、アジャスターの見積もり金額が修理工場の見積もりより高いケースは少ないです。
保険会社によっては、意図的ではないにしても、オプションの見落としなどで損害額がボデーショップ佐野の見積もりより数十万円以上安いケースもありました。
時間があれば多くの修理工場で見積もりを取る方法が良さそうですが、見積りを出して協定までして修理をしないというのは、修理工場からすると手間だけかかって1円にもなりません。
1円にもならない案件に時間をかける余裕がある工場は少ないため、無料で見積もりを出して協定までする工場の場合、アジャスターが出す見積もりで終わらせる場合もあれば、細かく調べず作成し、アジャスターとの協定にも時間をあまりかけないよう、減額の交渉に素直に応じるかもしれません。
車両全体に雹害の損害がある場合、お客様と一緒に雹害の損害確認を行うと30分以上、車両のサイズによっては1時間以上かかる場合もあるでしょう。
引き受けてくれない工場もある事を考えると、複数回これを行うのはなかなか骨の折れる作業だと思います。
ボデーショップ佐野がお勧めするのは、協定を含む見積料を支払って、対価に見合った仕事の結果である見積書を作成してもらい、保険会社との協定もきちんと仕事をしてもらうことです。
やっぱり修理したいというときに困らず、雹害とみられる損害を時間をかけて確認し、必要とする作業や部品をしっかり計上してもらう事で、トータルで得する結果を得られるものだと思います。
まとめ:雹害でも車両保険が使えればお金はもらえるが、修理する場合は早めにしよう
- Q: 雹害で車が傷ついた場合、車両保険は使えますか?
A: 一般的な車両保険に加入していれば、修理費用や全損時の補償を受けられます。 - Q: 修理せずに保険金だけ受け取ることは可能ですか?
A: 可能です。ただし修理する場合は自己負担が発生する可能性があります。 - Q: 保険金だけ受け取るメリットは何ですか?
A: 保険金を、買い替えの頭金や他の用途に使えます。 - Q: 保険金だけ受け取るデメリットはありますか?
A: 後から修理する場合は部品代や工賃が値上がりする可能性や、再度損害が生じた際に補償対象外になる可能性があります。 - Q: 全損扱いになるケースはどんな場合ですか?
A: 修理費が保険価額を超える場合に全損となります。 - Q: 全損ではない(分損)の場合はどうなりますか?
A: 修理費相当額が保険金として支払われ、用途は自由です。 - Q: 保険会社の査定と工場の見積もりは違うことがありますか?
A: 同じ損害でも工場ごと・保険会社担当者ごとに査定額が異なる場合があります。 - Q: 保険金を受け取った後に修理することはできますか?
A: 可能ですが、受け取った保険金を超える修理費は自己負担となります。 - Q: 雹害後に修理しないと車検に影響しますか?
A: 一般的な雹害ですと車検は通ると言えます。 - Q: 近隣の工場では断られましたが、相談しても良いでしょうか?
A: 断られた理由次第ですが、概ねご対応可能です。埼玉県新座市までお越しになれない場合でも、対応できる可能性はございます。
特にお金を受け取った後に修理する場合は、注意が必要です。
分損の場合、支払われる保険金は協定というプロセスを経て決まります。
板金塗装工場によっては、協定を保険会社が手配するアジャスター任せであったり、
無料で協定を行ってもらえるケースでは、見積の手間を省くため保険会社任せにするという対応をする可能性もあるでしょう。
ボデーショップ佐野では、有償で精査した見積もりの協定前提出・協定まで行っています。
雹害や被害事故、車両保険等、請求に見積もりが必要だがどこも受け付けてもらえないという場合、お声掛けいただければお力になれるかと存じます。
投稿者プロフィール
- 2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。
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