鈑金塗装の相見積もり(鈑金工場目線で考える、あなたにあった工場を探す方法)

特にご実費修理の場合、複数の工場で見積もりを取る方もいらっしゃると思います。
最近では、自動ブレーキ関連の搭載車両の増加による見積もりの難易度が高くなっていること、見積もりに付随する手間の料金体系の難しさや、細かいところでは人件費の高騰や原材料費の高騰、セキュリティ問題などもあり無料でお見積書としてご提出するのが難しくなっているディーラーや鈑金工場も増えてきているようです。

実際に、弊社でも実際に修理せず、保険会社等と協定(損害額の確定)まで行う場合は見積もり料金をいただいております。
(見積もり難易度の高い車両については、ご実費修理用のお見積もりについても、2022年以降有料となる可能性がございます)
そこで今回は、相見積もりについて鈑金工場目線で記事にしてみました。

最初に見積もりに行くのはディーラーが良いかもしれません。
基本的には、ディーラーの見積書は最新の部品在庫や部品金額、多めに見た同時交換部品などの情報が揃っている事があります。
そのため、ディーラーの見積書は比較対象として説明しやすい場合が多いです。
3か所以上で見積もりを行うとしたら、最後に行く工場は「他工場の見積書を見せて、相談に乗ってもらえそうな工場」にするべきだと思います。
判断するのは難しいので、可能であれば一番見積もり金額が高そうな工場に最後に行くのが良いかもしれません。
(これについては、後述します)

まず弊社の場合、
・ディーラーや他工場の見積書を持参してもらう(デジタルデータでも、写真でもOKです)
・最後に弊社に来てもらう

という事をお勧めしております。

最後に来てもらうというと、普通は「他の工場より安くする、といって仕事を取りたいだけなんじゃないの」と思われがちですが、違います。
なぜなら弊社は、金額で競争をしないからです。

金額で競争をしない理由は簡単です。
例えば、1時間3,000円のマッサージ店のチラシを持って、1時間6,000円のマッサージ店に対して「あっちの店は3,000円だから3,000円でやってくれ」という人がどれくらいいるでしょうか。そして、3,000円でマッサージを行うお店がどれくらいあるでしょうか。
鈑金塗装はサービス業です。
作業者の熟練度や工場ごとの品質の基準、設備や人員や、場合によってはこだわりが異なります。
5,500円のチラシだったらお値引きしてくれるかもしれませんが、通常のマッサージよりも時間が短かったり、手抜きをされたと感じる可能性、つまり、品質が落ちるか、品質が落ちていないのに落ちているという疑いが出てきそうですね。
(ボデーショップ佐野では、お値引きに関して作業者が分からないようになっているため、お値引きにより品質が下がるという事があり得ません。お値引き後の見積書で作業の指示を出している工場では、お値引きにより品質が下がる可能性がゼロではないと思います)

話が逸れましたが、なぜ最後に行く工場を厳選すべきか、なぜボデーショップ佐野に最後に来るのをお勧めするかというと、

1.ニーズを引き出せる工場を探す:他工場の見積書からニーズ(お客様の拘り)を引き出しやすい場合もある

代表的なニーズは、

・金額を優先する
・仕上がりを優先する
の2つになります。

お客様からニーズをお伝えしていただくのがベターですが、事故修理に慣れているお客様は少ないです。
そのため、工場側がニーズを引きだしていく必要があると思います。
また、ご家族に相談する事を前提として見積もりをしている場合、ニーズ自体がその場で引き出せない場合があります。

事故修理に慣れていないのが普通ですので、見積もりを取る方は安い方が良い、という場合がほとんどです。
しかし、話をしていくとどうやら金額だけを重視している訳ではなさそうだぞ、と気付く事もあります。

説明や打ち合わせは時間がかかります。
また、知識がなければ打ち合わせも出来ません。
手間もかかり知識も必要なので、打ち合わせを省く工場はとことん省きます。
(もちろん、打ち合わせが必要のない修理方法しかできない損傷もありますので、打ち合わせが無い事が悪い事ではありません)

明らかにバンパー交換の場合であれば本来はどの工場でも似たような見積書になりますが、簡単そうなバンパー交換の見積もりもニーズや知識によっては過不足が発生します。

これは、中古部品のご説明をしているか、見積書に抜けが無いか、必要となる同時作業に対する知識が足りない(又は調べる手間を省いている。特に先進安全運転装備搭載車両は難易度が高くなります)か、リスクを事前に考慮した見積もりになっているか、という事になるのですが、ニーズが分かればお見積もりは早くなります。

金額を最優先する場合、弊社では「修理しない」という選択肢をお伝えする事もあります。
これは修理代が20万円だとして、20万円かけて直す価値があるかどうか(下取り価格が20万円近く上がるかどうか)という市場価値の部分が出てくるからです。
仕事が欲しいという工場が多いため、修理しないという選択肢自体を提示できる工場も少ないのですが、実際に修理しないという選択をするお客様もいらっしゃるため弊社では選択肢の一つとしてお考えいただいております。
軽微な事故であれば、タッチペンのみで終わらせる、という方法もございます。
見積金額が6万円や8万円でも、弊社在庫塗料によるタッチペンのみでは1,000円で終わるという場合もございます。
次の車検で乗り換える予定の場合や、修理する金額が下取り価格の上昇に見合わない場合はお勧めできる方法です。
もちろん、こちらの選択肢も非常に喜ばれる場合がございます。

仕上がりを優先しながら予算が限られる場合の説明が、最も工場の説明力(フロント力)が問われるかもしれません。
とはいえ、ご予算が全く損傷に見合わない場合もあるため、ご予算内での修理方法が無い(一部は直さない)場合もあります。
他工場の見積もりがあれば、その見積に過不足が無いか見極めて自社の見積もりとの違いをご説明します。
ただ、まったく同じ内容の作業をしても、弊社の方が高くなる場合もございます。
価格転嫁を行っておらず、パソコン上の設定を変えずにお見積もりをしている工場も多いことや、1時間あたり工賃の差(多くの場合、設備の差)があり、同じ内容でも品質に差がつく可能性もございます。
(一部の塗装の材料費は原材料費高騰から、ここ20年で4割近く上昇し、最低賃金も上昇しておりますが、価格を安くすることでしか仕事が取れない、原価高騰に無関心など、様々な理由で価格転嫁を行っていない工場もあります)

完全に仕上がりを優先する場合は、何にもっとも拘りを持つのか、というところを引き出していく必要があります。
例えば、オリジナル(新車時)の塗装や部品を残しながら綺麗に修理したい場合では作業方法が異なる場合がございます。これは特に年式が古く、プレミアムカーとなった車やなりそうな車でご依頼をいただく事があります。
しかし、だれが見ても修理したことが絶対に分からないように作業するのは、予算をどんなにかけても出来ません。
(他の記事でも記載しておりますが、鈑金塗装は魔法ではないため、事故前の状態になるわけではありません)
そのため、仕上がりの特にどの部分に拘るのか、耐久性なのか、見た目に分かりづらい事なのか、後から問題が出にくい事なのか、お客様によって異なる拘りをお話いただけるとスムーズです。

2.ニーズから仕上がりイメージを合致させる:他工場の見積もりと比較した方が話がしやすい

そもそも、事故修理について詳しくない人が見積もりをしているケースもあります。
これは、その店舗で修理をしていないケースや、鈑金部門が別棟で歩いて行ける範囲に無いケース、その店舗でも修理をしているものの、見積もり担当者の知識が車両に追い付いていないために抜けが多いか無駄な部品交換が多いケースなどがあてはまります。
この場合、見積書自体がアテにならないケースもあります。

そういった見積書しか手元にない場合でも、仕上がりイメージについては話ができます。
ボデーショップ佐野では、他工場の見積書と自社の見積書を比較しご説明をしながら、仕上がりのイメージを合致させていきます。

例えば、他工場のお見積書と弊社の見積書を比べて、弊社の見積書の部品代が1万円高かった(ボデーショップ佐野の方が交換部品が多いとします。
この部品代の差がなぜでるのかをご説明する事で仕上がりのイメージを合致させていきます。

あくまで見積書から読み取れる範囲になりますが、
「他工場では、この部品を再使用又はマスキングにて取り外さない見積もりとなっております。この部品を再使用する事によるリスクは、隙間が今より広くなる可能性がある事や、浮いたようにしか取付が出来ない可能性があるという事になります。弊社では、見積もり上はこの部品を交換としておりますが、再使用しても問題が無かった場合は再使用します。これは、後から「やっぱり外したら壊れました!交換が必要です!+1万円かかりますのでご用意ください!」というとトラブルになりかねないので、事前に見積もりに計上しておく、追加方式ではなく削除方式という見積もり方法による金額の差となります。マスキングにて取り外さない場合、塗装の端部が露出するため修理の品質が落ちる場合があります。修理品質が落ちる場合がある作業方法というご説明は受けておりますでしょうか」
とお聞きしております。ほとんどの場合、この見積書のどの部分が修理品質に影響が出るかといった説明はされておりません。

しかし、弊社でも「時間が無いから10分で見積もりをして!」や、「予算重視!この予算以上出せない!」と言われれば、詳しいご説明をせずに予算内で確実に抑える見積もりを作成する事もございますので、説明をしていない事自体が悪い事とは言えません。
限られた時間の中で全てをご説明できない場合がある事を、ご了承ください。

しかし、こういった品質に関わる説明を行わずに見積書だけ提示すると、「他工場は安い、ボデーショップ佐野は高い」というイメージでお帰りになるという事になります。実際には同じ作業方法が出来るので、説明をしないのは楽でイメージも良いですが、実際に作業を行うとトラブルになる可能性があります。
つまり、他工場が省いている説明を、弊社が代わりに行っているという事ですね。

経営者や見積もり担当者の考え方の差となりますが、部品の追加が出るのは工場のせいではない、という考えが根底にある場合、後から見積もり金額が高くなる事に心が痛まないのかもしれません。
私は心が痛みます。

10万円の予算しかないのに「1万円の部品を追加しないと作業が終わりません」と言われたら、レビューで星1です!と書きたくなるので、初めから11万円から1万円減るかも、という説明をしています。
見積もりが高いので星1です!と書かれても、理解を得られやすいコメントが書けると思いますが、追加金額が出たので星1です!と書かれたら見積もり力が疑われても仕方がないです。
(もちろん、作業前には予測が出来ない損傷である場合もあるため、確実に追加金額が出ない見積もりを出してほしいと言われるち、他工場より明らかに高額になってしまう場合があります)

見積もりシステムが異なる場合、他社の見積もりは読みづらいので見落としもあるかもしれませんが、概ねご理解いただけるご説明内容になると思います。

3.特に最後に行く工場では、時間に余裕を持って行く

ここまでの文章が非常に長い事からも分かるように、損傷内容によっては、説明に非常に時間がかかります。
通常、見積書を作成するだけであれば10分~20分程度あれば充分な事がほとんどですが、しっかりと見積書の内容についてご説明し、ニーズを引き出し修理内容を決めていくとなると、1時間かかる事も少なくありません。
修理の見積もりにそこまで時間をかけたくない!という場合は、ただ見積書をお出しする事も可能ですし、修理するかどうか分からないお客様へのお見積もり・ご説明に1時間かける工場は少ないと思います。

事故について詳しくない方がほとんどですので、見積もりについて詳細を聞きたい場合は、時間に余裕を持っておいた方が良いと思います。
また、しっかり説明が聞きたい旨を工場に伝え、時間が充分にある事をお伝えした方が、トラブルやクレームの無い、お互いに気持ちの良い仕事が出来ると思います。

まとめ

今回も長くなりましたが、相見積もりで修理先を検討されるお客様は昔よりも増えてきていると思います。
あくまで主観ですが、弊社は他工場よりもフロント力が高いと自負しておりますので、相見積もりで他工場より高くても、ご依頼をいただく事が多いと思います。
これは、可能な限り専門用語を少なくすることで分かりやすい説明を心掛けることはもちろんですが、他工場で省いている説明がお客様にとって重要な部分(=こだわりのある部分)であることが多いから、という事もあると思います。
仕上がりイメージを合致させ、ニーズを引き出し、分かりやすい説明を行うのは時間がかかります。

弊社の場合、特にこういった説明を得意としているのは佐野となりますので、見積書に対してお聞きしたいことがある場合、佐野をご指名いただければと思います。

見積もりシステムがあるので、見積もりは一見簡単なように思えますが、見積もりグランプリというものが開催されるぐらい見積もり金額は千差万別です。
余談ですが、見積もりグランプリは写真や車両情報といった事前の情報から作成する見積もりについて過不足が無いか、という事が審査の基準になりますので、お客様のニーズを引き出せるかどうかといったフロント力とはまた別の能力が問われますが、向上心や知識、経験が無いと上位には入れません。弊社では特に参加しておりませんでしたが、機会があれば参加したいと思います。
(見積もりグランプリ:https://rt-web.jp/rt_update/pdf/b202106_mokuji.pdf

極論を言えば、見積もりに正解はありません。実際に、見積もりグランプリの優勝者でも、審査員による採点では100点ではありません。
納得のいく料金・納得のいく仕上がりイメージを持てる工場に出会うのは難しいと思いますが、事前に準備しておくと出会える確率は上がると思います。
・予算があれば、予算をお伝えする(足元を見る悪い工場もあるので、見積書が出てからでも良いと思います)
・何を優先しているのか考えておく(予算なのか、仕上がりなのか、仕上がりであればどこまで許容ができるか)
・複数の工場で見積もりを取るのであれば、最後に行く工場を厳選する(予算重視の場合でも、見積もりが高そうな工場に行く事で、なぜ高いのか、なぜ安いのかといった説明をしてもらえる可能性があります)

ご不明な点があれば、LINEやメールでお問合せください。