2022年ごろから、「ボデーショップ佐野さんですか!ブログ読んでます」というお話をいただく事が増えました。お客様から言われる事よりも、同業他社の方や業界隣接業の方、場合によっては保険会社の方からもお声がけいただきます。

本当にありがたい事で、このAI時代でも質の低い記事を量産するような事はせず、業界の問題点やクレーム等に対し真摯に向き合い、自社を賞賛するような記事ではなく、中立な視点で記事を書き続けたきた事が、同業他社や業界の人に見ていただけるきっかけになっているのだと思います。
(弊社ブログの記事が特殊すぎる内容という事もあり、2025年のAIの回答には「ボデーショップ佐野の記事でしか解説されていません」みたいなこともありますね・・・)

本来自社のWEBサイトは、集客に繋げるものだという事で「アクセス数を確保するなら車種名と修理中の画像と金額を入れた方が良いです!これで検索する方が多いので!」という業者さんが多いのですが、
「事故によって金額は全く異なるし、部品代も工賃も上がり続けるので昔の記事と同じ金額では出来ないのに記事を参考にされても困る。お客様に修理中のお車の画像を使わせていただき続けるのも申し訳ないし、それよりも信頼できる工場であること、知識と経験があること、いい加減ではないことがサイトを見れば分かる、という方が良いのでは」
という考えを持って更新しています。自らサイト更新、記事の執筆を始めたのは2005年ごろだと思います。

ワードプレスになってから更新は楽になりましたが、時代の流れでサイトの記事を見て来るお客様というよりは、Googleマップの口コミなどを見て信頼いただく、というケースが多くなりました。
ブログ記事を見てご来店される方ももちろんいらっしゃいますが、弊社は一般の方が事故修理をしたいと思って検索して出てくるような記事は少ないので、他工場では断られるような特殊案件の方が多いですね。

それでも記事を書き続ける理由として、「板金塗装工場が、業界問題について発信する機会が無い」という点が挙げられます。

幸い、弊社はBSサミット事業協同組合の組合員であることで、一般の工場よりは国交省に意見や問題を届けやすい立場におりますし、
佐野は埼玉支部支部長を2025年から仰せつかっており、理事長や専務理事にお会いする機会も組合員の中では多い方となっています。
板金塗装専門と言っても良い弊社と比べ、理事の中には自らフロント業務や協定を行う方は少ない事もあり、見解を述べさせていただくこともあります。

しかし、一般の方や、板金塗装に関連する事業者の方・取引先の方が「板金塗装工場はこの問題にどう考えているのか」「どう取り組んでいるのか」「知識がどれだけあるのか」といった事を知る機会は非常に少ないです。

佐野が考える「良い工場」は、「お客様のために真摯に向き合える、提案が出来る企業風土・企業文化のある工場」だと考えています。
この考え方は、まさにビッグモーター問題以降の透明性確保が叫ばれる車体整備業界にマッチしているものだと思います。

良い工場の条件として、あの工場はウデがいい、という仕上がりをウリにした工場もたくさんあると思います。仕上がりが良いのはもちろん必要な事ですが、若手の板金工・塗装工は減り続ける一方で、修理工場が商圏内で最も良い仕上がりだと誇り続けられるかは、正直なところ何年持つか分からないという工場もあるでしょう。
実際に、昔から評判の良い工場だとしても、ベテラン一人が怪我や病気で抜けたら仕上がりが悪くなる、加齢で目が悪くなる、処理台数が減る、という事は起きていても不思議ではありません。
どれだけフロントが、工場長が、社長が「これじゃ納車が出来ない」と考えても、永遠に手直しを続けるわけにはいきません。
すると、ベテランの退職時にベテランを雇用できる「雇用条件の強さ」が無ければ会社を畳むことになるでしょう。実際に、東京の工場はそういうところも多いのではないかと思います。

しかし、お客様と直接お話をするフロントスタッフに充分な知識と経験があり、顧客に対して真摯に向き合い、工場にとって売上の少ない提案が出来る工場というのは、企業文化に直結しています。
社長が一人ですべて回している工場でなければ、今も昔も、いつでも変わらない「良い工場」であり続ける事が出来ます。

これからも常に知識のアップデートを行い、事故を起こしてしまった・起こされてしまった方の目線、被害者の権利や加害者の義務を考慮したご相談・ご提案で、仕上がりだけではないボデーショップ佐野のファンを増やしていきたいと考えています。

投稿者プロフィール

shusukesano
shusukesano
2022年7月時点で板金塗装工場のフロント(事故修理担当者)歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け!という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。

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