ボデーショップ佐野の仕事ではありませんが、あるレンタカー会社さんがお持ちしたレンタカーの預かり時チェックをしていたところ、コストとスピード重視で作業した形跡がありました。
この記事では、安い・早い・それなりという仕上がりがどういうものかを、ご確認いただけます。
左リヤフェンダーの、左リヤドア寄りです。
どこに問題があるか分かりますでしょうか。
実はこれは、わざと修理痕が分かりづらくなるよう撮影した写真となります。
これが、「それなり」と表現した理由となります。
レンタカーは、修理コスト以外にも稼働率や次の予約を考慮し、安さ・早さ・パッと見て違和感が無いかどうかが問われます。
すると、一般的には綺麗に丁寧に修理しているレンタカーはどうしても少なくなります。
（これがレンタカー上がりの車両が中古車市場で安い理由かもしれません）
そのため、この修理をした工場は「依頼主から求められた作業を提供した」（安い・早い・それなりという需要を満たす最低限の作業を行った）という事となり、作業した工場の腕が無い！仕上がりが悪い！という訳では無いかもしれない、ということになります。
上の画像だけでは、そこまで悪い仕上がりには見えません。
（この画像で分かりやすいところだと、リヤドアとの隙間がリヤフェンダー最下部でかなり狭くなっております）
目線の高さより少し低い位置で撮影しておりますが、これでOK、これで充分という方ももちろんいらっしゃいます。
では、次の写真でアップにしていきます。
腰を落として、地面と水平に撮影した写真となります。
サイドシルカバーに近い部分で段差が目立つようになっており、リヤドア寄りでは段差に波が立っています。
アップで撮影したものでは、塗装の肌まで分かりやすいと思います。
仕上がりの差は、正常な右側と比べてみると一目瞭然です。
見比べると、修理痕がある方は塗装の肌もぼそぼそで、塗装に穴も空いています。
例えば、弊社の場合、ソリッドの白、リヤフェンダーのこの部分のちょっとへこんだ修理で画像見積もりであれば、パッと見で5万円前後でしょうかと伝える内容かと思われます。
修理期間も、通常土曜日お預かりで遅くとも金曜日には完成、1週間後にはお返しできますが混んでいなければ3-4日というのが通常の納期かと思います。
この修理痕が分かる工場では、恐らく2~3万円で修理をしたのではないでしょうか。
修理期間は混み具合により2-3日というところかもしれません。
レンタカーという前提で話を進めておりますが、もちろん一般のお客様のご実費修理でも同様です。
鈑金塗装の大部分は工賃、つまり人件費が占めております。
すると、金額が安いのは「可能な限り時間をかけない（悪く言えば、手を抜く）」「仕上がりが悪くてもやり直さない（1回分のコストに見合った作業をしているので、やり直せない）」という2点によって実現しているのです。
場合によっては「耐久性を犠牲にしてまで手を抜く」という工場もあります。
こういった作業を日常的に行っていると、手を抜くのが当たり前となり、手を抜いた修理しか出来ないという工場もあるかもしれません。
車両保険を使って修理を依頼したが、仕上がりが本記事の画像のようであったという場合、恐らくその工場にそれ以上の仕上がりは望めません。
手を抜くのが常態化しており、仕上がりを重視した作業はできない（面倒なのでやらない）と考えられます。
又は、比較的新人に近い方が作業をしたという事も考えられますが、作業途中又は作業後にベテランがやり直すという方法を取らないという事は、ベテランがやり直してもさほど変わらないのかもしれません。
ボデーショップ佐野では、安さのみを重視したご修理をご希望の場合、「弊社ではその金額ではお引き受けできませんので、他の工場さんにご相談いただいた方が良いと思います」とお伝えさせていただいております。
鈑金塗装工場を選ぶ際は、ご自身の仕上がりイメージが工場側と近づけられるかどうかが重要だと思います。
修理痕が気になる、塗装の状態がおかしいが修理によるものなのかが分からない、という場合でもお気軽にご質問ください。
LINE等で写真を遠方・アップの最低2枚以上撮影・ご送信いただくと、どのような修理をし、なぜこのような状態になったかの予測は出来ると思います。
投稿者プロフィール
- 2022年7月時点で板金塗装工場のフロント（事故修理担当者）歴16年目。
年間700件近い事故に携わり、事故の総取扱件数は10,000件を超える。
お客様や取引先からはもちろん、同業他社のフロント担当者からの支持も厚く、困ったときは佐野に聞け！という板金工場も多い。
2022年1月に4歳になった娘と家族のため、月間残業時間10時間以下を心がけている。
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